ろうそくについて

仏壇や神棚にはお祀りに用いる仏具・神具が必要となりますが、ろうそくもお祀りに欠かせないもののひとつです。お線香に火をつけるための道具ではなく、ろうそくそのものが重要な意味を持っています。
一方で、最近では仏壇や神棚は簡略化の傾向にあり、仏具や神具を置く場所に迷う場合もあるようです。ろうそくについても、置くべきかどうかと思う人もいるのではないでしょうか。
この記事では、日々のお祀りでろうそくを灯す意味や仏具・神具としてのろうそくの扱いをご紹介します。

1.ろうそくを灯す意味

仏教におけるろうそくを灯す意味とは
仏教におけるろうそくの光は、仏の教え・知恵を表しています。暗闇を退け、無知な人々を導く様子を表しているのです。そのため、仏壇でろうそくを灯すことはとても重要な作法のひとつとなっています。 仏壇に置く仏具を「具足」と呼びます。この具足に香炉、花立てと共に燭台が含まれていることからも、ろうそくを灯す行為が仏教において重要な意味を持ち、お祀りや供養に欠かせない行為であることがわかります。

神道におけるろうそくを灯す意味とは
神道においても、ろうそくで神前に火を灯すことはお祀りの作法のひとつとなっています。 ろうそくの火は、「ここで私が祈りを捧げています」ということに気づいてもらうための目印であり、神様に降りてきていただくための目印でもあります。ろうそくの火はまた、空間を清浄にし、邪気を払う力があるともいわれています。 神棚のろうそくを灯すことで祈りを捧げる場としての準備が整う、といえるでしょう。

2.仏具としてのろうそくのマナー

仏具としてのろうそくは、どのようなものを求め、どのように扱ったらよいでしょうか。

ろうそくの置き方
先に述べたとおり、ろうそくは基本的な仏具のひとつです。仏壇に置くときは、香炉、花立て、燭台をセットで置くのが一般的です。

三具足
香炉、花立て、ろうそく立て(燭台)をひとつずつ置く形式です。香炉を中心に据え、向かって右にろうそく立てを、向かって左に花立てを置きます。日常のお祀りでは三具足が基本となります。
五具足
以前は、香炉1つに対し、花立てとろうそく立てを1対ずつ置く形式でしたが、近年では「三具足」の香炉、花立て、ろうそく立て(燭台)に仏飯器と茶湯器を含めて「五具足」と呼んでいます。
普段は三具足でお祀りしていても、法要を行う場合など、特別なお祀りをする場合に五具足にする場合が多いようです。

線香はろうそくで火をつける
お線香をあげる際は、まずろうそくに火を灯し、ろうそくの火でお線香に火をつけます。
マッチや点火器具で直接お線香に火をつけるのはマナー違反とされてきましたが、近年では安全面からお線香専用のマッチや点火器具を置いている場合もありますので、その場合はマナー違反とはなりません。

ろうそくの火を消す時は口で吹いてはいけない
仏教や神道において、人の吐く息は不浄なものとされています。お祀りに用いた火を吹き消すのは神様、仏様に対して大変失礼な行為となります。
ろうそくを消す際は、そのための道具を使うのが望ましいです。かぶせて消すタイプ、あおいで消すタイプ、芯をつまんで消すタイプなどがあります。

3.神具としてのろうそくのマナー

神具としてのろうそくは、どのようなものを求め、どのように扱ったらよいでしょうか。

ろうそくの置き方
神棚の前に供える米・塩・水のお供えものの横に、一対となるように置きます。
神棚は高い位置にあることが多く、火を点けたろうそくを置くのが難しい場合もあるでしょう。ろうそくは手元で火をつけたり、日々のお祀りでは点灯を省略させていただいたりすることもあります。ろうそくがなければお祀りが不十分ということはありません。無理をせず、安全第一のお祀りを心掛けてください。

4.お祀りに使用するろうそくの種類

お祀りに使用するろうそくをいくつかご紹介します。

定番のろうそく
直径が6ミリ~9㎜前後、長さが40~70㎜前後のろうそくは、仏壇や神棚のお祀りで定番のろうそくです。より大きな仏壇には10cm以上あるものが映えるでしょう。
お祀り用のろうそくは、外見は同じようでも、油煙や臭いが少なくなるように原材料が配慮されています。
朱ろうそく
赤いロウで作られたろうそくもあります。お仏壇を新しく設置する際や法要の折に使用します。
絵ろうそく
花の絵が描かれたろうそくは、火をつけなくても仏壇に花を添えます。法要の際など、常日頃よりも心をこめたお参りをする際などに使用する場合もあります。
短時間燃焼ろうそく
燃焼時間が短い、小さなろうそくも普及しています。10分前後で燃え尽きるため、新しいろうそくでお祀りをしたい人におすすめです。
蓮の花型ろうそく
丸く、蓮の花をかたどった形のろうそくもあります。仏前に彩りを添えるのでご供養になるでしょう。倒れにくく安定しているので安全でもあります。
フローティングキャンドル
水に浮かべて火を灯すタイプのろうそくは、見た目に美しく、贈り物としても適しています。
故人の好物をかたどったろうそく
お寿司や和菓子など、故人が好きだったものをかたどったタイプのろうそくは、法要の際に使うとご供養になることでしょう。
火を使わないろうそく
電気式で火を使わないろうそくもあります。高い位置に置く神棚や、仏壇の日々のお祀りでは火を使わないタイプのろうそくを使う方法もあります。LED電球のタイプであれば消費電力も少なく長持ちします。火の扱いが心配なご家庭でも活用できるでしょう。
ただし、仏壇でお線香をあげる場合はぜひ本物のろうそくをお使いください。

5.ろうそくで火災を起こさないための注意点

仏壇も神棚も、その多くは木製です。ろうそくを灯すことはお祀りをする上で大きな意味を持ちますが、火災を防ぐために以下のことに注意をして取り扱いましょう。

ろうそくに火をつけている時はその場を離れない
基本的なことですが、ろうそくを点けたままでその場を離れないようにしましょう。お参りが終わり、仏壇や神棚から離れる際には必ず火を消しましょう。

必ず燭台を使い、しっかり固定させる
安定しない状態でろうそくに火をつけるとろうそくが倒れ、可燃性のものや衣類に火が移って燃え広がります。仏具として販売されている燭台を準備し、しっかり固定した上で用いるようにしましょう。
燭台のサイズに合うろうそくを選ぶことも重要です。燭台の対応サイズ以上のろうそくを立てると、安定せずに倒れる原因となります。

防火・耐火性能のある敷物を使う
燭台の下や仏壇・神棚の周囲に防火・耐火性能のある敷物を敷くのも火災を防ぐひとつの方法です。

燭台を置く位置に注意
仏壇や神棚のサイズによっては、本物のろうそくを使うべきではない場合があります。近年ではお仏壇も神棚も小型化しており、内部でろうそくを灯せるサイズではない可能性があるのです。
小型の仏壇や神棚を置いている場合は、LEDライトなどのろうそくを検討するのもひとつの方法です。

火災に注意して安全なお祀りを
少し古い資料になりますが、灯明(お祀りに用いるろうそくの火)による火災は平成17年から22年の5年間で111件もあったそうです。
仏壇で使用するロウソク(灯明)の取扱いにご注意を!(東京消防庁)
神様仏様に祈りを捧げる行為が原因の火災とならないよう、十分に注意してろうそくを扱いましょう。

6.まとめ

仏壇や神棚に供えるろうそくには宗教的な意味があります。一方で、火災が心配な場合は無理をする必要はありません。日々のお祀りでは火をつかわないろうそくを使用するなど、無理なくろうそくの明かりをお祀りに取り入れる工夫をしてみてはいかがでしょうか。

仏壇や神棚のお祀りの仕方がわからずお困りのお客様は、ぜひ仏壇通りの仏具店にお越しください。専門店ならではの知識を持つ販売員が、お客様のお気持ちに適うお祀りができるようアドバイスいたします。

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