お仏壇の選び方 ―購入前に知っておきたいこと―

このコラムでは、

  • お仏壇の由来
  • お仏壇と一緒に購入する仏具
  • お仏壇の種類や購入するタイミング

などについて、簡単にまとめました。

  • ご家庭の宗旨に従ってお仏壇をお求めになりたい方
  • 宗教の枠にとらわれず、現在のライフスタイルに合うお仏壇でご供養をしたい方

いずれの場合も、ご先祖やご家族を思う気持ちを表し、仏様をお祀りするのにふさわしいお仏壇をお選びいただきたいと思います

1.お仏壇の由来

家の中の寺院としてのお仏壇
お仏壇は、身近な場所で仏様にお参りできるように作られた、いわば「小さな寺院」です。寺院を模したものなので、伝統的な仏像のデザインや装飾には寺院の様式を取り入れたものとなっています。
天武天皇が「諸国の家ごとに仏舎を作って仏像や経を置いて礼拝供養するように」という詔勅を出したことに始まり、室町時代には浄土真宗大谷派の宗主であった蓮如上人が信者に「南無阿弥陀仏」と書いた掛け軸を授け仏壇に祀るように推奨されたこと、江戸時代には家ごとに宗旨を決め、いずれの寺院かの檀家になることが義務付けられたこなどとから、庶民の家庭においてもお仏壇を置くことが普及したと言われています。

ご先祖供養の場としてのお仏壇
日本では太古の昔より、自分をこの世に生み出してくれた祖先は亡くなった後に霊的な存在となって神々と共に子孫を守ってくれる、という先祖崇拝の信仰があります。何かの宗教を信仰している自覚がなくても、命日やお盆、お彼岸にお墓参りをし、ご先祖様に手を合わせる方は多いのではないでしょうか。ご先祖供養は日本古来の最も自然で身近な信仰のかたちといえるでしょう。仏教が日本に伝来し広まる中で、ご先祖様供養の習わしは仏教にも引き継がれ、現在も各宗派の教えに従って実践されています。お仏壇は家の中にあって、ご先祖様を敬い子孫の加護を願う祈りの場でもあるのです。

2.お仏壇の種類と各部の名称

新しく購入されたお仏壇は、皆様のお住まいの中に置かれるものです。現代のライフスタイルに合わせ、お仏壇の形もさまざまに変化しています。
ここでは、お仏壇の種類を3つに分けてご紹介します。細工や使用する木材に凝ったお仏壇は高価なものですが、シンプルなお仏壇を選んだから仏様、ご先祖様に失礼ということは全くありません。大切なのは「祈るこころ」ですので、ご予算や住宅事情などに合わせて最適なお仏壇を選ばれると良いでしょう。

金仏壇
主に浄土真宗の大谷派・本願寺派の宗派で用いられるお仏壇ですが、他の宗派であっても金仏壇を用いても問題はありません。
漆等の塗りを施して金箔を貼り、随所に蒔絵や彫刻などの技を採り入れたとても豪奢なお仏壇で、極楽浄土の様子を象徴しているものだと言われています。なお、浄土真宗の大谷派の金仏壇は内部の柱が黒く、本願寺派は柱も金色の金仏壇を用います。

  • 浄土真宗大谷派の金仏壇

  • 浄土真宗本願寺派の金仏壇

引用:一心堂

唐木仏壇(からきぶつだん)
紫檀(したん)や黒檀(こくたん)といった、海外の高価な木材=唐木を用い、漆や金箔を用いず木肌を生かして作られたお仏壇を唐木仏壇と呼びます。金仏壇が浄土真宗の二つの宗派で使われることが多いのに対し、他の宗派ではこの唐木仏壇を用いることが多いようです。現代では、黒檀・紫檀以外の木材も唐木仏壇に使用されており、用いられる木材の種類によってもお仏壇の価格は変わってきます。
金箔や蒔絵などの豪奢な装飾はありませんが、彫刻や透かし彫りなどの伝統的な工芸の技術で、お寺を模した荘厳な雰囲気を醸し出しています。

唐木仏壇(からきぶつだん)
家具調仏壇・都市型仏壇
近年の日本都市部のライフスタイルや住まいの形に合うようにデザインされたお仏壇で、『モダン仏壇』と呼ばれることもあります。洋室でも違和感のない西洋家具調の外見が特徴で、彫刻などの装飾はほとんど施されておらず、デザインには宗教的な表現はほとんど残っていないものが大半です。現代の住まいと調和させつつ、「仏様を祀り、ご先祖やご家族の霊に手を合わせる場」としての仏壇の機能を損なわないように配慮して作られています。

3.お仏壇と宗派

お仏壇は小さな寺院ですので、宗派によってお仏壇の形式やお祀りするご本尊などに違いがあります。

開祖 ご本尊 脇尊※1 仏壇
天台宗 最澄 釈迦如来 天台大師(右)
伝教大師(左)
主に唐木仏壇
真言宗 空海(弘法大師) 大日如来 弘法大師(右)
不動明王(左)
主に唐木仏壇
浄土宗 法然 阿弥陀如来 観音菩薩(右)
勢至菩薩(左)
主に唐木仏壇
浄土真宗本願寺派(西本願寺派) 親鸞 阿弥陀如来 親鸞聖人(右)
蓮如上人(左)
金仏壇(柱は金)
浄土真宗大谷派(東本願寺派) 親鸞 阿弥陀如来 十字名号(右)
九字名号(左)
金仏壇(柱は金)
臨済宗 釈迦如来 栄西 達磨大師(右)
観音菩薩(左)
主に唐木仏壇
曹洞宗 釈迦如来 隠元 道元(右)
瑩山(左)
主に唐木仏壇
日蓮宗 日蓮 大曼荼羅日蓮※2 鬼子母神(右)
大黒天(左)
主に唐木仏壇

※1
脇侍(わきじ)とは、仏様の教えを広め衆生救済の補佐をする役割を持つもので、仏壇においては各宗派の開祖や、如来を補佐する菩薩が描かれた掛け軸を指します。 正式にはご本尊様と両脇侍をお祀りしますが、近年はお仏壇の小型化に伴い、脇侍のお祀りを省略するケースが多くあります。

※2
日蓮宗では、ご本尊として大曼荼羅の掛け軸をかけ、その前に開祖である日蓮上人の坐像を置くのが一般的となっています。

※3
当コラムでは一般的に多い事例として宗派別のご本尊様・脇侍をご紹介しておりますが、宗派内の各派・地域・各お寺によって異なる場合がございます。念のため、菩提寺様にご確認いただくことをお勧め致します。

4.仏具

お仏壇を購入される際には、お参りやお供えに使用する仏具も必要となります。伝統的な金仏壇や唐木仏壇には、仏具も伝統的なデザインのものを合わせますし、家具調仏壇・都市型仏壇であれば仏具もシンプルなものやモダンなデザインが合います。購入するお仏壇に合うものをお選びください。

①鈴(りん)
済んだ音色で邪念を祓うと言われています。仏壇に礼拝する際に鳴らします
②香炉(こうろ)
お線香を立てたり、お香を焚くのに用います。
③燭台(しょくだい)
ロウソク立てです。
④線香立(せんこうたて)
お線香を差しておきます。
⑤花立(はなたて)
お仏壇に花を供える際に用います。
⑥仏飯器(ぶっぱんき)
炊き立てのご飯を盛って供えます(浄土真宗の仏壇では使わないことが多い)
⑦茶湯器(ちゃとうき)
お茶やお水を供えます(浄土真宗の仏壇では使用しないことが多い)
⑧高坏(たかつき)
お菓子や果物を供える際に用います
⑨仏器膳(ぶっきぜん)
仏飯器や茶湯器を載せるお膳です
⑩吊灯篭(つりとうろう)
仏壇に吊るし、仏壇の内部を明るく照らす照明です。

5.お仏壇を購入する時期

ご葬儀の後、故人のご供養のためにお仏壇を購入される場合、四十九日の法要までに購入するのが望ましいとされています。これは、葬儀の際に用いられる仮の位牌(内位牌)を四十九日の法要の際に本位牌に替え、魂を込める法要を行っていただく際に、仏壇にお祀りするご本尊の開眼供養もあわせて行っていただけるというメリットがあるからです。
ただ、絶対に四十九日までにお仏壇がなければならない、というものではありませんので、本当に納得のいくお仏壇をじっくり選ばれることをおすすめします。

6.お仏壇はどこで買う?

いざお仏壇が必要となった時、インターネットでお仏壇を検索される方は多いと思います。
そのまま購入される方もいらっしゃると思われますが、これからお仏壇を購入される方におすすめしたいのは、「仏具店で購入する」ことです。諸事情により店舗に足を運べない場合も、「由緒正しい仏具店が運営するサイトで購入する」ことをおすすめします。

  • 「パソコンの画面で見ていたものと現物はイメージが違う」ということがない
  • お仏壇選びで分からない事や疑問点があれば的確に答えてもらえる
  • 扱っているお仏壇の種類が豊富
  • 長くお仏壇を扱ってきた歴史があり、お仏壇の由来やお祀りのしかたなどに造詣が深い

お仏壇は、住まいの雰囲気に合わない・気に入らないからといって簡単に買い替えたり捨てたりすることができないものです。
お仏壇の由来や歴史を知り、実際にご自身の目で見てお気持ちに添うものを選べば、お参りの気持ちも変わってくるでしょう。
仏壇通りには、江戸時代から続く老舗仏具店が軒を連ねています。仏様・ご先祖様をお祀りするのにふさわしいと思えるお仏壇がきっと見つかるはずです。

7.まとめ

いかがでしたでしょうか。お仏壇を初めて購入されるにあたって知っておきたいお仏壇の種類や宗派ごとのご本尊様の違い、お仏壇と一緒にご用意いただきたい仏具について簡単にご紹介致しました。
もっと詳しくお知りになりたい方は是非、仏壇通りの仏具店にお越し下さい。実際のお仏壇をご覧になり、お気持ちに添うものを見つけていただきたいと思います。

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